在宅訪問薬剤管理ってどんなこと?
団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)に達し、高齢化が加速します。今後は更に薬剤師の役割が高まります。
- ねえアクシス、2025年問題って知ってる?
- ナオリン、今日はめずらしく質問から入りマシタネ?
- 新聞で読んだの。団塊の世代が後期高齢者になるのが2025年だって。
- ソウデスネ。その頃には75歳以上の人口が2200万人、国民の18%に達しマス。
- 高齢者が増えると、どんな問題が起こるのかしら。
- 高齢になれば病気のリスクが高まりマス。実際、70歳以降にかかる医療費は生涯医療費の半分に達するとの試算もアリマス。75歳前後からは、認知症や要介護となるリスクも高まり、社会保障の負担も増えてキマス。一方で少子化によって若年層つまり現役世代の人口は減っているので、給付と負担のバランスが急速に悪化すると考えられマス。
- そう言えば派遣先でお世話になった先輩が最近は高齢の患者さんが増えたって言ってたかも?これまでと同じやり方は続けられないってことね・・・(汗)。
- 病院の病床不足や人手不足も深刻になると考えられるため、厚生労働省を中心として、従来は入院で療養していた高齢の患者様に、できるだけご自宅や施設で療養していただけるような施策を推進する取り組みが始まってイマス。
- それ、知ってるわよ。「在宅医療」のことね。
- ソノ通りデス。在宅医療を実現するためには、訪問診療を行う医師や訪問看護師を充実させる必要がアリマスガ、それと並んで薬剤師の役割も期待されてイマス。
- これからの薬局は外来業務をメインにやっている薬局から「かかりつけ薬局」に変わり、薬剤師も「かかりつけ薬剤師」として地域医療の一翼を担うことになるんでしょ?
- 大正解デス。在宅医療を支援する薬剤師の主な役割として薬学的な管理計画に基づき患者さんのお宅を訪問し、薬に関して指導、支援、保管状況及び残薬の有無などを行い処方医に報告する「在宅訪問薬剤管理」ということにナリマス。
- 患者様が薬局に来るんじゃなくて、薬剤師が患者様を訪ねるわけね。
- ハイ。ご高齢の患者様の場合、ソモソモ自分で動けないケースもあるのデス。そのように自力で通院が困難な患者様で、処方箋にドクターからの指示がある場合、患者様の同意を得て訪問することにナリマス。
- そうよね、薬剤師が勝手に訪問するんじゃないのね。
- ソウデス。あくまでも医療チームの一員トシテ、担当ドクターや看護師、ケアマネージャーや介護士等と連携を取りながら動くことになり、大きな役割を担うのデス。
- 最近はスポットの派遣というのもいるけど、薬剤師の働き方もだいぶ変わってきそうね?今までの調剤薬局のように薬局内だけで業務が完結するのでなく、どちらかと言うと病院の薬剤師に近いのかな…?
- ある意味ではソウデスネ。病院デハ薬剤部が医師・看護師等とのカンファレンスをもとに入院中の患者様の服薬管理や指導を行いマスガ、在宅医療デハ薬剤師が、お薬をお届けしながら服薬指導・服薬支援、体調変化の確認、医師への要望のヒアリング、その改善のための文案作成を行うことにナリマス。病院と違うのは、患者様または代理の方の同意を必要とする点デス。
- 同意って、具体的にはどうするの?
- 薬剤師の訪問指導は医療保険制度と介護保険制度が関わってキマス。介護保険法では「居宅療養管理指導サービス」環境や身体的要因により通院することが困難な人を対象者へ重要事項説明書と契約書を結ぶ必要がアリマス。
- えっ、契約書をかわしたりするの?大企業に転職したみたい、契約なんて大きな会社みたいなことをするのね。
- ハイ。介護保険被保険者の場合はソウナリマス。医療保険でも介護保険でもその後、「薬学的管理指導計画書」を作成シマス。また、訪問後は主治医やケアマネージャーに文書で患者様の情報を提供することになってイマス。
- カルテみたいなものかな…?
- お薬の使用状況に関する連絡帳デスネ。サラニ、次回の処方箋発行時に、提供した情報が反映されているかどうかを確認するところまで薬剤師の役割デス。
- う~ん、責任重大ね・・・。今度、面接行く転職先の調剤薬局はどんな方針をとってるのかしら?
- 高齢の患者様の場合、複数の医療機関を受診していたり市販薬を併用していたりしてお薬の種類も多く、飲み忘れや自己判断で飲むのをやめてしまったりするケースもありマス。また、剤形によっては自力で飲むことが困難な場合もあり、状況に応じてドクターに一包化や粉砕化の提案をしたり、飲みやすい剤形への変更を検討したりしなければナリマセン。
- たしかに、薬のプロにしかできない役割かも。患者さん1人1人に適した対応が大事になるのね。
- いちばん大切なことは、患者様との信頼関係を構築し、医療チームの中での情報共有も含めたコミュニケーションスキルを磨くことではないデショウカ。在宅訪問では薬局内での業務以上に、相手の立場を考えた意思疎通が大切になると言えマス。今後の薬剤師にはコミュニケーションスキルも必要となり、転職する際の面接時は、調剤薬局の担当者がチェックする重要なスキルということになりそうデスね。
- ワタシ、そこは自信あるんだけどな~。ダテに転職経験をかさねてないわよ。
- 派遣で働くにしても転職するにしても、大いにアピールすると効果的だと思いマスヨ…!?